387人が本棚に入れています
本棚に追加
確かに実家も自宅もここから離れてはいないけれど、
それも気には留めてはいなかった。
「日本に帰ってから家が決まるまでの間、
住んでただけ」
別段意図も無くそう答えると、
少し伏していた顔が上がる。
(――――――――――――)
目を開くその表情を不可解に思いながらも、
今日ここを精算してしまおうとしていると告げると、
「……いいご身分ね、お坊ちゃま 」
ふいと俺から目を逸らした真白は、
小さく毒づいてコーヒーを口へと運んだ。
その様子に微かに眉間を寄せると、
「…食べないの?」
減らない皿の上を横目に訊ねれば、
真白はうろんな目でちらりと俺を見る。
「…あなたが食べないから、食べ辛いのよ」
最初のコメントを投稿しよう!