387人が本棚に入れています
本棚に追加
目を開いていく俺が、
近付く瞳の真ん中に映り込んだ。
その行動を脳が理解するより前に、
目の前の瞳が伏して“俺”が消える。
『――――朔?』
ドクンと音をたてた心音と重なって
ぼやけて聞こえたのは怜奈の声
それが流れた時、俺の唇に真白のそれが触れた。
「――――――――――――」
”――――何?”
状況を理解しようとすればする程、
体は固く硬直して動かない。
伏した瞳や、感じる息遣い
掴まれた腕の痛さ
それらが一気に体中を駆け抜けるのに、
時の流れはとてつもなく遅く感じた。
最初のコメントを投稿しよう!