衝動

20/38
前へ
/38ページ
次へ
目を開いていく俺が、 近付く瞳の真ん中に映り込んだ。 その行動を脳が理解するより前に、 目の前の瞳が伏して“俺”が消える。 『――――朔?』 ドクンと音をたてた心音と重なって ぼやけて聞こえたのは怜奈の声 それが流れた時、俺の唇に真白のそれが触れた。 「――――――――――――」 ”――――何?” 状況を理解しようとすればする程、 体は固く硬直して動かない。 伏した瞳や、感じる息遣い 掴まれた腕の痛さ それらが一気に体中を駆け抜けるのに、 時の流れはとてつもなく遅く感じた。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

387人が本棚に入れています
本棚に追加