387人が本棚に入れています
本棚に追加
何度自問しても行動の理由が判らない。
それでも体の半分は駆け出そうとするのに
頭の中で響いた問いがもう半分の身体を留まらせていた。
―――本心を知りたい
だけどもう一度あの顔をさせる事が
“正解”なのか
駆け寄って問い質す事が”正しい”のか
自分自身がせめぎ合って答えが出ない。
「本当……、」
―――どうしてそんな瞳をする?
流れてくる痛みが伝染って、
思考を強く囚われてしまう。
木々が揺れる穏やかな空間に、
取り残された俺だけが“違和感”だった。
不快な汗がじんわりと纏わりついた頃、
ため息を残し、残像を振り切るように先へと歩き出した。
最初のコメントを投稿しよう!