387人が本棚に入れています
本棚に追加
タクシーを降り、
エントランスへと歩きながら少し視線を移す。
(あれか……、)
マンション脇の道路には、
怜奈が言った通りの車が止まっていた。
思えばこの車を何度かここで見たような気がするけれど、
俺にとってはどうでもよく、ロックを外して中に入る。
「……怜奈?」
部屋のドアを開けつつ声を掛けるけれど、
中から返事はない。
電気がついたリビングへと歩き出した時、
「お帰り、」
目の前のドアが開き、
少しばつが悪そうな顔をした怜奈がそこから覗いた。
その脇を通り部屋に入ると、
キッチンには作りかけの食事が並んでいる。
最初のコメントを投稿しよう!