衝動

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タクシーを降り、 エントランスへと歩きながら少し視線を移す。 (あれか……、) マンション脇の道路には、 怜奈が言った通りの車が止まっていた。 思えばこの車を何度かここで見たような気がするけれど、 俺にとってはどうでもよく、ロックを外して中に入る。 「……怜奈?」 部屋のドアを開けつつ声を掛けるけれど、 中から返事はない。 電気がついたリビングへと歩き出した時、 「お帰り、」 目の前のドアが開き、 少しばつが悪そうな顔をした怜奈がそこから覗いた。 その脇を通り部屋に入ると、 キッチンには作りかけの食事が並んでいる。
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