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だけど暗い瞼の裏に映ったのは
木洩れ日の中去っていく後ろ姿で、
それが胸にあの瞬間の痛みを連れる。
「―――――――――――――」
―――暑い、
まだクーラーが効いていない部屋
それが俺自身を侵食するように
じんわり額に汗を滲ませる。
それを拭うように額に手を当てて動悸を逃がした。
“―――――朔?”
耳の奥で聞こえる声
それに返事をしようとするのに
喉が張り付いて声にならない
暗闇の中引き寄せようと手を伸ばした時、
「――――朔、出来たよ」
無意識にうった寝返りの先、
大きく視界に映ったのは怜奈の横顔だった。
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