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その時は少し話をさせられた程度だったけれど、
あれから数年の間に祖父の考えはかなり強固なものになったらしい。
この間、ちらりと父が言っていた。
祖父は早く“安心”がしたいらしいと
(安心、か……)
写真の中で微笑む顔を見ながら、
思えばかつて付き合った女はみんなこんな表情をしていた。
似たり寄ったりな家柄だったからなのか、
それとも俺がそういった女を選んでいたのか
「……………………」
積み上がった革表紙を横目に、
手の中のそれを上に置く。
どちらにせよ過去のことだし、
今の俺には縁談なんて程遠い話だった。
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