衝動

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それから暫くして 指定した時刻丁度にドアが開く。 おもむろに目を向けると、 仏頂面の真白が顔をしかめている。 “文句を言いたい” と顔に貼り付けたその表情が 今しがた見ていた写真の女とは正反対で、 俺は無意識にふっと息を吐き出すと、 デスクから身を起こして廊下へと足を向けた。 「…ねぇ、誰かに見つからない…?」 ゆっくりと階段を降りながら、 真白は声色を低くして先を下りる俺の肩に手を置く。 不安を表すその仕草を、 さして気にせず乾いた息を吐き出した時、 「―――坊ちゃん! お帰りだったんですか」 聞き慣れた声と、それを追って 玄関で靴を履こうとしていた祖父がこちらを振り返った。
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