衝動

5/38
386人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「………朔?   ――――戻ってたのか…?」 祖父は目を開いたまま 俺やその後ろへと交互に目を移す。 この構図がまさに思い描いていた“画”だった。 (…丁度いい頃合いだったな ) 「…朔…、 そのお嬢さんは?」 確認するような静かな問いに、 歪んだ満足を覚えつつ、 「―――今、 その質問は野暮でしょう 」 ふっと小さく笑みを零すと、 真後ろにあった背を押して祖父の脇を通り過ぎた。 事情を全く知らない真白は驚いて俺の顔を見上げる。 (その顔……、) 「履いて」 祖父の視線を感じつつ、 靴を履かせようと手を差し出す。 その手を見ながら真白は更に動きを固くした。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!