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「………朔?
――――戻ってたのか…?」
祖父は目を開いたまま
俺やその後ろへと交互に目を移す。
この構図がまさに思い描いていた“画”だった。
(…丁度いい頃合いだったな )
「…朔…、 そのお嬢さんは?」
確認するような静かな問いに、
歪んだ満足を覚えつつ、
「―――今、 その質問は野暮でしょう 」
ふっと小さく笑みを零すと、
真後ろにあった背を押して祖父の脇を通り過ぎた。
事情を全く知らない真白は驚いて俺の顔を見上げる。
(その顔……、)
「履いて」
祖父の視線を感じつつ、
靴を履かせようと手を差し出す。
その手を見ながら真白は更に動きを固くした。
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