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「――――――――――――」
迷ったように視線を彷徨わせる。
だけど一瞬目を伏すと、
俺の手を取ってヒールに足を滑らせた。
咄嗟に手をとる自分の行動に、俺自身少なからず驚く。
けれどこれならきっと
祖父も俺たちを疑うことはない。
それほど完璧な芝居だった。
そっと真白の背を押し、玄関を後にする。
門の外には少し前に呼んだタクシーが見え、
手を外してそちらへと足を向けた時、
「なに、今の…っ」
真白はさっきとは打って変わった顔でこちらに駆け寄った。
だけど俺は取り合わずに門を出ると、
「乗って」と促しつつ目を細める。
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