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「…だからっ」
俺の態度に堪らず声を荒げた真白に、
祖父がそろそろ外に出てくると告げた。
何か言おうとした言葉をぐっと飲み込んで、
こちらを睨みつつシートに腰を落とす。
真白にとっては理不尽で不可解でしかないし、
そんな顔をするのも当然といえば当然だった。
(ただでさえ文句の多い女だし、)
今朝目が合った時から今まで不機嫌な顔しか見ていない。
少ししてタクシーが発車すると、
真白を送ってから自宅に戻ろうかと隣に目を向けた。
「―――家はどこ?
俺も帰るし、送るけど」
「…何?
わざわざ実家に行っておいて、
お坊ちゃまは戻らなくていいの?
このタクシー譲ってくれたら、一人で帰るわよ」
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