螺旋

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螺旋

一年を通して仕事はそれなりに忙しいけれど、 ここ数日はかなり多忙だった。 M&Aの事は勿論社員には極秘で、 会話やメールなどに気を遣い、精神的にも疲れていた。 加えて、 富士川さんと食事をした日から残る感覚は 形を変えて俺の中に留まり続けて、 考える余地も考える事でもないのに、 思考の端を掴んで離さない。 「――――朔?」 呼ばれた名に意識を引き戻され、 ドアノブに手を掛けたまま振り返った。 「今日もまだ残るのか?」 「…そのつもりですけど」 ため息をついた父は小さく首を振って、 「今日はもう帰りなさい  あまり寝ていないだろう」 「…それは社長も同じでしょう」 時計に目を向けると、 あと少しで20時になろうとしていた。

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