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もし怜奈が戻れば騒ぎ出すだろう
だけどあの表情を見たと同時に
心が動いていた。
(――――それに、)
ミネラルウォーターを買おうと入ったラウンジの奥、
デッキに細い視線を向ける。
さっきと同じ場所にある背中に
久しく感じたことのない思いが湧き起った。
―――感情が連鎖する
このまま目に触れさせずに、あの男と接触させたくない
……存在を消してしまいたい
受け取ったボトルを握りしめ、足早にその場を離れた。
部屋に戻ろうと階段脇を通り過ぎた時、
上から降りてくる声が聞こえて、
「今年みたいな同窓会もいいもんだね」
「ほんと、
地元でするより気分が上がる気がする」
その言葉に足が止まり、肩越しに振り返る。
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