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通り過ぎた女達の言葉が頭の中でもう一度響いた。
「――――――――――――」
その声が消えると
今しがた出た部屋を横目に階段を下る。
船首の部屋に貼られていてた
『第二高校同窓会』の貼り紙に、
(―――これか、)
山梨とは適当に別れて
あの男とこれで再会したんだろう
“ 小川のことが、好きだったよ ”
“ このまま甘いセリフでも並べたら落ちるだろ ”
異なる二つの声色が耳の奥で響く中、
昂る感情を押さえて
開いたままのドアをくぐろうとした時、
「あの…?」
中から出てきた女が小さく声をあげた。
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