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高速を降り、車は一つ目の信号で停止する。
それが青に変わった時、
隣からぽつりと声が落ちた。
「―――パパ、やっぱり早く帰って来てって」
「…そう」
「嫌なんだけど」
「……だろうな、」
叔父とは話途中で、
どうしてなのかは知らされていないまま
だけど来週頭から仕事はもっと忙しくなる。
それは俺も父も、祖父も同じで
怜奈に構える時間を持てそうになかった。
「来週金曜の、午後7時のロス行き
…それで、帰るね」
細い声が耳を抜けた時、見慣れた門が視界に入る。
タクシーが停止する直前、
怜奈はゆっくりと顔を上げて俺の腕を軽く引いた。
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