過去の楔 #2

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高速を降り、車は一つ目の信号で停止する。 それが青に変わった時、 隣からぽつりと声が落ちた。 「―――パパ、やっぱり早く帰って来てって」 「…そう」 「嫌なんだけど」 「……だろうな、」 叔父とは話途中で、 どうしてなのかは知らされていないまま だけど来週頭から仕事はもっと忙しくなる。 それは俺も父も、祖父も同じで 怜奈に構える時間を持てそうになかった。 「来週金曜の、午後7時のロス行き  …それで、帰るね」 細い声が耳を抜けた時、見慣れた門が視界に入る。 タクシーが停止する直前、 怜奈はゆっくりと顔を上げて俺の腕を軽く引いた。
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