過去の楔 #2

35/37
277人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
――――視線が絡む その意思も意図も、俺への感情も …もう判っている。 ―――だけど、 「怜奈、おやすみ」 細い手を外しながらその気持ちを遮った。 「――――――――――――」 微かに瞳を揺らす怜奈が、視界の真ん中に映る。 失意を乗せた眼差しはすぐに下へと落ちて、 「おやすみ、朔  見送りには来てね」 そう言って外へ足を下ろした。 “―――いつまでも、子供?” ドア一枚隔てた奥を見ながら 訊かれた言葉が頭の中を巡る。 一回り違う、赤ん坊の頃から面倒を見た相手 だからどれだけ時が経っても、俺にとってはその枠を超えない
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!