怜奈と真白と、本当の心

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(―――――――――――――) 無意識に呼吸が浅くなる。 だけど、 「…ありがとうございます」 「うん じゃ、また今度」 通話を終えると ぼんやりと灯る液晶を眺めた。 アメリカで何かを耳に挟んだのかもしれないし、 違うのかもしれない それじゃなくても いつも俺を気に掛けてくれる事を 有難く思っているし、感謝もしている。 (でも……) ゆっくりと肩越しに後ろを振り返る。 二階の端の部屋に明かりはない 耳の奥で聞こえる嗚咽を振り切るように 携帯に指を落とし、アドレスを開いた。 今まで精神的に支えて貰っていた。 けれどもう、あの人にそれは…出来ない 細い息をついてゆっくりとそれを耳に当てる。 何度目かのコール音の後、 ぷつりと聞こえたのは無機質な音声だった。 「…何で出ないの …いつもいつも」 今話がしたい そう思う時、 俺からの電話はいつも繋がらない 無意識に空を仰ぐと、 細い下弦の月に雲がかかる。 それを瞳に映しながら 暫くその場に立ち尽くしていた。
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