奔走

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M&Aを日経に報じられたのは 痺れを切らしたアポッドが記者会見を開いたからだった。 それを受けてうちの株価は 一時ストップ安になるまで下落、 こうなると株主も黙っておらず、その対応に追われた。 けれど佐藤のお蔭で裏では光りも見えていて、 アポッドの薬で重い副作用を併発したという患者を見つかり、 金で口止めされていたけれど、 良心の呵責から証人になってもいいとの事だった。 「悪い、そっちは頼む」 手が回りそうにない俺は、電話越しに佐藤に頭を下げる。 「おー、上手くいったら次は…」 「―――その時は、  お前の所まで味噌でも醤油でも、運べるものなら渡しに行く」 「お、まじか! なら俺も頑張らないとな  すげー楽しみにしてるわ」 からからと笑う佐藤との通話を終えると、 俺は成田へと急いだ。
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