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無意識に手を伸ばすと、
流れた跡を辿るように頬に触れる。
「――――真白、
他の男を好きだなんて、
結婚するなんて言うな 」
同時に引き寄せた体が胸に倒れ込んで、
柔らかい髪が喉元をくすぐった。
細い体は固くて、息を止めたように動かない
だけど逃れる事もなく、ただ傍にいる事が
冷えた体温を包み込んでいく
どれくらい経っただろうか
「なら……、言ってよ
―――私が、好きだって」
細く声が震えたと同時に、シャツが緩く引かれる。
その声や仕草が鈍色の心に染みて、じわりと広がった。
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