椿荘と冬桜 #2

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「うちの親父の事なんやけど、  この間の検査結果が良好やってなぁ 今度退院するねん  それで久々に朔に会いたい言うててなぁ  いつか大阪来た時、寄ってやってくれん?」 「……悪い、全然顔を出せてないな」 父は何度か見舞いに行っているようだったけれど、 俺自身は日本に戻ってから一度も出向いていない。 山梨の父親は、会社絡みで多少揉め事があった時には 後ろから手を貸してくれている相手だった。 「あと少しで先の見通しがつくから、  近いうちに伺うって伝えといて」 「おー、親父も喜ぶわ …ってかそうや!    こないだ聞いてんけど、  お前住井商事んとこの女と見合いしたって、  ホンマなん?」 「―――――――――」 山梨の所は住井とも付き合いがある。 どの経由かで話が耳に入ったんだろう 「まぁ、そう  けどもう済んだ話」
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