椿荘と冬桜 #2

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「済んだ話って?」 「さっき先方から断りがあったらしいから」 「――――なんや、それならええけど     住井んとこの女、  お前のファンって結構有名やったけど、確か男おったような…」 山梨はそういう事は良く知っている。 「…本当、記者並に情報通だな」 俺がふっと息を吐き出すと、 「皮肉か!」と耳の奥に笑い声が響いた。 「まぁけど気をつけろやー  そんなんアヤちゃんの耳には入れたらあかんで」 その言葉に、 俺はもう一度苦笑交じりの息を吐き出す。 真白は見合いをしたという事実は知らないはず だけど俺に見合いの話があることは もう知っている。 それでも気に留めた素振りもなかったし、 俺の心も揺るがない以上、大した事にはならないはず
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