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体は冷たいのに
内側からの熱が指先を火照らせる。
ブラインド越しに届く月明かりが
白い肌をより一層際立たせて、
俺の意識を漣のように揺らし続けていた。
もっと傍に、と体を近付ければ、
甘い香りが何度も鼻を掠める。
言葉は何もない
ただそこにあるのは、
湿った吐息と、色を帯びたふたつの瞳だけ
胸を震わせる感情は
綺麗でも輝いている訳でもないけれど、
探しても見つからなくて
求めても手に入る訳じゃなくて、
気が付けばこうして傍にあるものなんだろう
と、そっと髪に何かが触れ、
それを追って頬に温かい温度を感じた。
「……………………」
それが真白の手だと判った時、咄嗟に顔が上がる。
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