第1章

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杖をついて、義足になった体で家に帰る。 親戚の同情の目がたまらなく俺を落ち込ませた。 こんなはずじゃなかった。 まだ、小さい下の二人の子供は親戚に預けたまま。 どうしてるだろう…。 居なくなって初めて自分の子供の可愛さに気づく。 情けなくて、何度死のうとしたか…。 そのたびに、嫁が後ろからついてくる。 「お父さん…帰ろう。」って 俺を死なせてもくれなかった。 こんな姿で生き恥をさらして生きていけと言うのか? 「どんな姿でも、私の夫はあなただけだから。」 仕事も出来ない男が、どうやって生きていく。 「私が働きます。お父さんは家で家事をしてくれたら…。」 真っ直ぐな嫁の瞳に、俺の心が揺れ動く。
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