第1章

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ゆりちゃんは、大学を抜けて走り続けて、大きな交差点の歩道橋の上で止まった。西の空にはオレンジ色の太陽がゆっくり沈んでいくところだった。今日のために入念に手入れしたネイルも、気がつけば少しはげていて、今日のために選んだピンク色のワンピースにも汗がにじんで、バラの香りがするはずの白い腕は汗ばんでいた。ゆりちゃんの頬には涙がつたって、下では車やトラックが大きな音で走っているのに、「ぽろぽろ」という音がこぼれてきそうだった。ゆりちゃんは、都会の大きな歩道橋の上で両腕の中に顔を埋めて泣いた。オレンジ色の太陽も沈み、都会の人工的な明るさがゆりちゃんを照らしていた。 しばらくゆりちゃんは、ご飯も喉を通らないようだった。パンツの私が言うのもなんだけど、女の子はちょっとふっくらしてるくらいが可愛い。  ゆりちゃんはある日、少し嬉しそうに帰って来た。帰ってから机に座り、ぼーっとしている。机につっぷしたと思えば、髪を整えだしたり。その日は私じゃなくてストライプちゃんが着られてた日だった。私はストライプちゃんに聞いた。 「ねえ、ストライプちゃん、何かあったの?」 ストライプちゃんはクールに答えた。 「別に。告られただけ」 「えっ、誰が?誰に?」 私はびっくりした。 「だーかーらー、何だっけあの男。ああ、そう、有川とか言ったかな、あの同じ学部の。あいつが告ってきたわけよ、ゆりに」 ストライプちゃんは、何が起こっても動じない。 「ゆりちゃん、告白されたの?」 「そうそう」 「で、どうだったの?」 「や、なんか、ちょっと考えさせてとかって言ってた。どうでもいいけど」
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