第1章

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ゆりちゃんは、有川くんに告白されて、今迷っているんだな。有川くんはちょっと弱気なところもあるけど、そういうところが母性本能をくすぐられるっていうか、そんなかわいい男の子。あー、あの有川くんにそんな勇気があったのか。パンツながら、感心してしまう。ゆりちゃんも有川くんのこと、嫌いじゃないと思う。いつも、なんだかんだで手伝ってあげてるし。 「ストライプちゃん、有川くん、ゆりちゃんになんていって告白したの?」 「えー、なんか覚えてないけど。あ、そうそう、かわいいからすき、って言ってたな」 「かわいい!?」 私はパンツだから知っている。私を選びに来る女の子たちが一番言われたい言葉。 かわいい。 みんな、男の子からのその一言が欲しくて私たちを選ぶんだ。  ゆりちゃんが、マグカップに入ったコーヒーをぐっと飲んで、携帯電話を手に取った。 有川くんに電話してるんだな、とすぐにわかった。ゆりちゃんの頬がピンク色になる。ゆりちゃんは、言いにくそうにしていたが、ぎゅっと目をつぶってそして言った。 「ありがとう。お願いします」 一瞬の間があって、電話口から有川くんの叫び声が聞こえてくる。 「ヤッター!」  ゆりちゃんは、今、きっと世界で一番幸せな女の子だ。
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