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何にせよ、だ。無能な僕も最後の最期ぐらいは、自分が犠牲になることで、将来の有る少年の命を助けられて良かったかな。
今となっちゃ、「僕はどうして彼を大型トラックから庇ったのか」なんてもう自分でも解らないけれど。僕と少年との価値を天秤にかけたら、秤は少年に傾くんだし。
だから、これでいいんだ。
これで、よかったんだ。
(なに一つ楽しくない人生だったけど……ま、できれば僕の分まで長生きしてね、少年……)
それを最期に。
極限まで遅く感じられる時間の流れの中──集まりはじめた野次馬に見送られながら──血だまりの中で僕の意識は永遠に途絶えた。
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