第1章

11/11
前へ
/11ページ
次へ
さとみのおかげで父と向き合う決心がついた。 言わなきゃ。 「何で今までちゃんと話してくれなかったの?」 父は言いにくそうに、 「ずっと話そうと思っていた。お前を傷付けると思ってなかなか言い出せずにいた。でも、本当の母親のことを知りたがっているって圭子に聞いてな。ごめん。」 え…お母さんが? 私のことちゃんと見ててくれてたんだ。 父は、私を施設に預けたりせず引き取って育ててくれた。 母も血が繋がってなくても実の子のように育ててくれた。 私、ひねくれてた。 家にいることがほとんどないからって。 血が繋がっていないからって。 私たちはちゃんと家族だったんだ。 そのことに今さら気づいた。 私は、お父さんとお母さんに言った。 「今までごめん。ありがとう」と。 Fin
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加