第1章

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朝、朝食を食べに一階へ降りて行くと、 「お父さん、昨日会社に泊まったみたいよ」 母が私を見るなりそう言った。 「あ、そう」 私がそっけない返事をすると奥に消えていった。 私の父は会社で専務をしている。 仕事が忙しいのか家に帰ってこない事が多い。 本当は外で女でも作っているんじゃないかな… っていうのは、女の勘。 私の母は、いわゆる専業主婦。 母と言ってもね本当の母じゃないの。 私は産んでくれたお母さんの顔を知らないんだ。 本当のお母さんは私を産むとすぐ亡くなったらしい。 だから、お母さんがどんな顔をして、どんな性格だったかなんて全く知らない。 今の母は父の再婚者。 前の奥さんが私の本当のお母さんなのかもしれないけど、父は何も教えてくれない。 写真も残ってないし、父と話す暇もないしで知りたいけど、いつか話してくれるのを待つしかないみたい。 いろいろな事を考えながら、朝食を食べ終えると学校へ行く準備をした。 15歳だから、中学校に行かなくちゃいけない。 でも、その日は行きたくない気分だった。
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