第1章

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徐に瞳を開けると目の前には白い世界が広がっていた。 「ここはどこだ?」 うつ伏せで倒れていた俺は体を起こし、目を掻きながら白い世界を見回す。どこだかわからない白い世界はどこまでも広く、まっ平らな空間にも見えた。床、空、見渡す限り全て白。気が狂いそうなほど白だった。 「な、なんだこれ?何で俺、こんなところにいるんだ?」 そして俺は悟った。 「俺、死んじゃったんだな…」 遡るは五分前。俺はいつも通り会社に行くため、通い慣れた道を歩いていた。いつもと変わらない会社までの道のりを、いつもと変わらないまま歩いていたのだが、一つだけいつもと違うことがあった。 目の前に見える道が、道路工事をしていたのだ。面倒くさかったが、少し遠回りになるが隣の道路を通って会社に向かおうとした時、死角となっている方から猛スピードで自動車が来たと思った俺は、咄嗟に避けようとしたところまで覚えているが、それ以降の記憶はない。きっと轢かれてしまったのだろう。そして死んだ俺は今、この白い世界に飛ばされてきたということか。 理解の早い俺はこの状況にもう慣れてしまい、肘を床につけて寝転がりくつろいでいた。
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