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しかし、その状態から在らぬことが起きたのです。
僕の横にピシャリと後ろ斜め四十五度…かどうかは分かりませんが、何かが叩き付けられるようにして飛んで来ました。
突然のことだったため、"何か"は分かりませんでしたが、ただ、白い物体が飛んで来たということは分かりました。
その瞬間は何事か分からず、とりあえずその物体が描いてきた軌道の原点を見やりました。
先には空の扉が開け放たれた戸棚と、義父の弟によってもうずっと昔に戸を取っ払われた、同じく空の押入れがあるだけ。天井も恐る恐る見上げました。
けれど、特にこれと言って変わったことはなし。いつも通り変哲はありませんでした。
とりあえず物体が何かを確かめようと、着地しただろう地点、積んだダンボールの後ろ側を覗き込むと、白い物体はそのひとつだけ。
湿布。
しかも、小さいのに丁寧に二つ折り(切手程のサイズ)にされたもの。
はあ?なんなんだ…?と思いながら妹に目を向けるも、その妹はジャンプに夢中で気付いてなんかいない様子。
「ねえ、今の見た?」
「…は?何が。」
話し掛けてようやくジャンプから顔を上げる妹。
「湿布投げられたんだけど」
その後、あったことを説明するも、私も妹も怖がるべきなのか笑うべきなのか分からず、複雑な心境でいました。勿論、調べようはないんだけどそれなりに確認くらいはしてみました。けど何も見つかることはありませんでした。
後日友達に話せば「何ソレ」と笑いだけを誘い、でも良く良く考えると靴に画鋲を入れられたような後味の悪さが残る、そんな十一月某日の出来事だったのでした。
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