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それから、そんなことをすっかり忘れ始めていた三、四週間後のこと。
「あ、あった!針!」
針をなくしたリビングの隣の、父と母の寝室である和室から出てくる母。
「…はあ?」
「どこにあったと思う?」
さあ、と首を傾げると布団を持ち上げ、これ!とその布団を見せられました。
「今布団干そうと思って、敷き布団退かしたら普通に落ちてたんだよ!」
「は?(゚Д゚)」
つまり母は、布団に刺さってたとか、ましてや普通に布団の上に落ちていたとかではなく、敷き布団の下。しかも隅とかではない真ん中あたりでぽつんと、普通に横に寝ていた針を見つけたのだと言いました。
「何ソレ、有り得なくない?」
「有り得ない有り得ない。でもあったの」
そう言いながら再びなくさないようにと、さっさと裁縫箱へしまわれた針。
服につくなど、何らかの方法で隣の部屋まで移動したとして、そこで落ちるなら畳、または布団の上。それか精々掛け布団の下で、布団は針を落とした日からその日まで上げていないので、敷き布団の下には普通に考えればそう入ることはありません。
敷き布団に刺さり、ぐいぐいと下まで潜ったとしてもそれなら縦に刺さっていたり、敷き布団の更に下に敷かれたスプリングのクッションまで到達している方が現実的です。
因みに針を落とした場所から発見場所までは直線にして三メートルはありました。
一体、針はどういった経路でそのような場所(敷き布団の下)へとたどり着いたのでしょうか?とても知りたくて堪りませんでした。
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