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一方、綾は午前中のアポイント対応を終え、同じ地域を回っていた先輩の鳴海春子(なるみ はるこ)と昼休みに合流した。
彼女達は保険の営業職。
今日はピークタイムが終わった頃に店に入ったため、さほど待たずに席に座る事が出来た。
運ばれて来たパスタを食べながら、春子が訊ねてくる。
「お休み楽しかった?」
綾の前には、ドリアが運ばれてきた。
「はい。映画を観に行ってきました」
「彼氏?」
綾は苦笑いしながら答えた。
「いえ・・・お友達です」
春子はニコニコしながら追究してくる。
「いい男?」
誘導尋問に負けた綾は、つい誠一の事を思い浮かべてしまった。
高身長、容姿端麗。
スマートな所作、さりげない気遣い。
知り合う前には、来店する女性客と火遊びを楽しんでいるという評判を、あちこちで耳にしてきた。
「モテるタイプだとは思います」
当たり障りのない綾の答えに、春子はふうん、と相槌をうち。
それ以上訊いてはこなかったのだが―
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