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【1】今の幸せを永遠に
「まだかなぁ…。」
高校3年生に上がりもう1ヶ月。
新しいクラスにも慣れはじめ、私は今ごく普通の高校生活を送っている。
「遅くなりましたー、ちっちゃいから見えへんかったわ笑」
ちょっと息を切らして太陽の様な柔らかい笑顔で笑いかけてくるこの人は私の一番大好きで大切な人。
「うん、素直にいいよとか言えへんよね、がっつりチビって言うたよね…?」
「ん?俺そんなこと言うてないで?」
「よし、今日は希龍の奢りだ!!」
「え…」
「行こっ!!」
「ちょっ、まって、彩水」
私達は周りから見れば何処にでもいるような普通のカップル。
でも裏には想像も出来ないくらい辛い過去が隠れている。
私は振り返り、出来るだけの笑顔で伝えた。
「3年記念日、おめでとう!これからもずっとずっと宜しくお願いしますっ!」
希龍は一瞬びっくりしたような照れてるような複雑な顔をしたが、すぐに
「こちらこそ宜しくお願いします」
と、私の大好きな満面の笑みと共に返事が返ってきた。
今のこの幸せな時間が永遠に続けばいいのにな。
……………
この時期になると鮮明に思い出す。
胸の奥底にしまい込んだはずの暗い暗い闇を。
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