45人が本棚に入れています
本棚に追加
/222ページ
「お嬢様!」
老人の掛け声に、私は振り向いた。
私の長いウェーブの黒髪と、紅色のロングスカートの内側から垣間見える白いレースが優雅に揺れた。
「祐也さんが探しておられましたよ」
老人が笑顔で言った後、老人の背後から若い男が姿を現した。
「探していたぞ、ユリエ」
「あら、ごめんなさい。色んな方と話込んでいたのよ」
私は、にこやかな表情で応えると、右手に持つグラスの赤ワインを一口飲んだ。
最初のコメントを投稿しよう!