第2章

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―ガシャンッ アルバイト先であるカフェの洗い場から、何かが割れた音が響いた。 「失礼いたしました!」 少し大きな声でお詫びの言葉をお客様に伝えて、私はすぐに音のした方に向かう。 すると、そこには新人アルバイトの加奈ちゃんと店長の姿があった。 「また割ったの?これで何回目?」 そう言って人目を気にせず怒鳴りつける店長と、ひたすらに謝りながら泣きそうになる加奈ちゃん。 「加奈ちゃん、大丈夫?怪我はなかった?ここは良いから、お客様に料理の提供をお願い。」 怒鳴りつける店長が、次の言葉を発する少しの間を衝いて、私は声をかけた。 新人アルバイトの加奈ちゃんが食器を割ってしまうのは、これで3回目。 別に頻繁に割っているわけではないけれど、ベテラン従業員が多い中で新人の失敗は目立ってしまう。 それが分かっているから、店長のイライラをぶつけられる彼女が少し可哀そうに思えてしまった。
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