第2章

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少し話があると言った彼女の言葉に従って、私たちはお店の近くにあるファーストフード店に入った。 「お話って?」 なるべく素っ気なくならないようにそう尋ねながら、ジュースを啜った。 「あ、はい。 私、ずっとカフェで働くのが夢だったんです。 それでここのアルバイトを始めたんですけれど、イメージと全然違ってて… 上手く言えないんですけれど…続けていく自信が無くて。」 そこまで言うと加奈ちゃんは深いため息を吐いた。 「私、楠野さんに憧れていたんです。 いつも笑顔で接客をしていて、頼りになって… 今日も私が悪いのに店長から庇ってくれて、こうやって話も聞いてくれて… 優しくて、頼りになる先輩だなって思って甘えちゃっていたんですね。 もっと怒って良いはずなのに、いつも諭すように教えてくれて。 すごく憧れているんですけれど、同時にどうしようもなく嫉妬もしているんです。」 そう言って彼女はこちらを見た。 私は驚きのあまり、言葉を返すことが出来ずにただただ話を聞いていた。
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