第2章

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「最後に2つ質問をするね。これは個人的な質問だから、無理に答えなくてもいいよ。」 優しく微笑んだ彼は、私にカモミールティーを飲むように勧めた。 「まず、今日来たときから気になっていたんだけどさ。 どうしてそんなに苦しそうなの?」 その言葉に私は思わず彼を見てしまった。 その時初めて私は彼が出してくれた紅茶の意味がわかった。 私は再び紅茶を飲み、ゆっくりと深呼吸をした。 甘い香りのカモミールティーは、今の私の心に染み渡って広がっていく。 逃げるみたいで恥ずかしくて、誰にも相談できなかった退職理由。 ずっと心に留めておいて苦しみ続けることが、本当の逃げなのかもしれない。 そう思って私は彼に話した。
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