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「不思議だな。」
ほんの一瞬で、人を好きになる。
それはこんなにも暖かいことで、不思議なことだ。
「晴野さん。」
いつの間にか、俺と彼女の手が少し触れ合っていた。
「…なに?」
晴野さんは俺に目を向け、静かに次の言葉を待っている。
ここで言うのは間違っているかもしれない。
だけど、そう思ったときにはもう──
「好きだ。」
そう言っていた。
夏の匂いが詰まった、優しい風がそっと吹いた。
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