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ぺちぺちと平手の打合わされる音がしてヌァンは振り返った。少女がやる気のない拍手を彼に送っていた。
「余所者にしてはなかなかやるじゃん」
先程までの怯えた振舞いとはうって変わって、少女はふてぶてしく言った。
「何故追われていた?」
「私が14Kからヤバイもん盗んだから……たーかいヤツ。あげないよ?」
「要らん」
「こんなクソみたいな街、というよりはクソの塊に何しに来たの?」
人を殺しに来た、とは答えなかった。
「へーえ。無視ですか。一応自己紹介、私はアッカ。ナッパーのアッカ」
「罪喰い。ヌァンだ」
「なんだ、殺し屋殺しか。お袋が言ってた。警察と殺し屋殺しには関わるなって」
「半分は正解だ」
「半分って、どっち?」
アッカ、とヌァンは拳銃を懐に仕舞った。
「助けてやった代わりに頼みがある。そういう概念はまだこの街に残ってるな?」
「まあ、少なくとも私はそうだけど。何が欲しいの?私のこの瑞々しい身体とか云うのは勘弁ね」
アッカはブルブルと自分の身体を抱き締めた。
「会いたい人間がいる。この螺旋街で一番耳の効く情報屋だ」
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