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ヌァンは不満げに唸ると脇の下の拳銃を意識した。これで充分だと思っていたが、甘い見立てだったのかもしれない。
早めに強力な武器を誰かから奪うか、武器屋を見つけた方がいい。
これだけ酷い街だ。武器屋の一人くらい転がっているだろう。もしかしたら、このネオンの群れのどれかは、武器屋の屋号かもしれない。
こんな非現実的でふざけた街なら、あり得そうなことだ。
タッタッと何かが視界の隅で蠢いた。
ヌァンが顔を向けるとそこには少女がいた。
とっさに拳銃に手を伸ばすが間に合わず、腕を折り畳んだ格好のまま、ヌァンと少女は激突した。
弾き飛ばされて少女は地面にひっくり返る。
ヌァンも少しよろめいたが、こんな小さな身体にぶつかられて倒れるような鍛え方はしていない。拳銃を抜くと、いててと頭を掻く少女に突きつけた。
「動くな。誰だお前は」
少女はその銃口を見上げると、一瞬呆気にとられた表情を浮かべたが、すぐにあきらめの微笑を浮かべてため息を吐いた。
「私は――」
「おんなァ!!!」
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