第1章

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叔父の家に着くと、既に他の親戚の人達が集まってお葬式の準備をしていた。 初めて感じる違和感。叔父の姿が何処にもない。いつもなら直ぐに出迎えてくれるのに。 叔父は棺の中で横になっていた。 顔は鼻から顎までしか見えなかった。 でも、見える部分は傷だらけで痛々しく、血の気が無かった。 私は叔父は寝ているだけと思っていた。 本当にそういう風にしか見えなかった。 周りの人達のすすり泣き、どうして皆、悲しんでるの?なんで泣いてるの? 五歳だった私には人の死というものがどういう事なのか、全く分からなかった。 それを理解したのは、出棺の時だった。 親戚の人達が口々に「まだ若いのに早すぎる・なんで先に逝ってしまうんだ・まだこれからって時に」と言っていた時、 私は「もう二度と叔父と話すことも、遊ぶことも何も出来なくなる。」そう思った。 そう思った途端、涙が溢れ大声で泣いた。母も祖母も泣いていた。ただ兄は唇を強く噛んで泣くのを堪えていた。 でも、堪えきれなかった涙が一つ、また一つと頬を伝い、床へと落ちた。
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