たとえわたしがいなくても

3/6
前へ
/6ページ
次へ
2013年 10月4日 本谷詩子は誕生日を迎え、恋人である市川功太にプロポーズされた。 「詩子。俺はお前が好きだ。ずっと好きだ。…俺と結婚してくれ」 差し出された指輪に左手薬指を通した詩子は、功太の真摯な瞳を見つめ、「はい」とだけ言った。 その瞳にはうっすらと涙が浮かび、彼女の喜びが見てとれる。 二人は一年間交際を続けた恋人同士。 二人の仲の良さは同級生の間で知らない人がいないほどだった。 プロポーズから一年後の詩子の二十歳の誕生日、二人は結婚式を挙げた。 詩子の花嫁姿は本当に花のようで、その顔には笑みを咲かせて新郎の功太と腕を組んで歩く。 タキシード姿の功太はそんな彼女を見つめながら、幸せを噛み締めていた。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加