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しかし、そんな幸せに浸っていられたのは、束の間の奇跡と言うものか。
彼女はもうこの世にはいない。
いつも功太の隣をちょこちょこと歩いては笑いかけていた詩子は、もうどこにもいなくなってしまった。
彼女の手の温もりを感じることも、出来なくなってしまった。
功太は悲しみにくれ、毎日毎日咽び泣いた。
あのとき、自分が彼女を突き飛ばしてでもあの場から退かすことが出来ていたら。
自分の足が動いていたら。
あのとき、もしも…
そればかりを考えて、変えられもしない過去を嘆いていた。
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