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この屋敷に根付いた呪いを、解き明かす必要があった。処刑場、骸骨、首無し、空、そして俺、パズルのピースを組み合わせていく。
「この屋敷に根付いた呪いは、無慈悲に斬首された罪人や、無罪で殺された奴ら悲しみや憎しみ、長年、積み重なって生まれた存在、空、お前がそうなんだろう?」
哀れみはあったけれど、同情はできない。積み重ねてきた時間や思い出に、胸が締め付けられる気持ちに耐えながら、俺は問いかける。
「だったらなに!? それで何が────え?」
空が、肯定し、少女が真上から空の身体を真っ二つに切り捨てた。二つに別れた身体から血が流れ出す。一瞬の出来事、痛みもなかったに違いない。ドサッと身体が倒れると同時に集まっていた、首無し達も動きを止めた。
終わった。張り詰めていた空気が霧散し、俺はその場に座り込んだ。呪いの本体、空がいなくなったことにより、目の前の屋敷がズタズタの廃墟になっていく。
「全ては幻、最初から、この屋敷には人はいなかった。そうなるように呪いが見せていただけ」
締めくくるように、少女が日本刀を鞘に納めた。残されたのは、俺と骸骨、そして呪いを斬る少女、ボロボロに朽ち果てた屋敷には、人の気配はまるでなかった。
「あんたなんだろ、俺を呼び止めてくれたのは」
俺が空に招き入れられそうになったとき、とっさに呼び止めたのは、少女ではなく、この骸骨だった。
「貴方を助けたのは、呪いを解くためであって、ことのついでです。仮に貴方が、呪いにやられてしまった場合、あの女は姿を隠すでしょう。そうなっては困るのです」
なぜなら、骸骨はカタカタと歯を鳴らす。
「私も、あの女に身体を奪われた者ですから──って、何をするのですか。仮音(カオン)」
と後ろで聞いていた、少女こと、仮音が骸骨の頭を日本刀と鞘でポクポクと叩いていた。
「正直になったらどうなの、貴女は、佐次のは母親だって、佐治を救うために、ここまで来たんだって」
「え?」
「っ!? それは秘密だと言っておいたでしょう!!」
「呪いは全てを解き明かし、語らないといけない。それがどんなに切なく、悲しいことでもなかったことにはできない」
仮音の言葉に、骸骨こと、俺の母親(?)はくるりと視線をこちらに向ける。向けるといっても眼球はないんだけれど、なんとなく、泣きそうな顔をしているように見えた。
「話を聞いてくれますか?」
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