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「ああ」
と答えると、骸骨は話し出した。
「それは、私が、この屋敷に奉公に来たときから始まります」
彼女も、この屋敷に呪いに支配されていると気づかずに、この屋敷の使用人として働いていた。その頃はまだ、旦那様や奥様は呪いに招き入れてはいなかったため、首無しではなかったけれど、呪いは少しずつ、少しずつ、この屋敷の住人達を招き入れた。
最初は使用人、次に来客とどんどん外堀を埋めていき、一見するだけなら、裕福な屋敷を演じていた。そんな中で彼女も、偶然、呪いの存在を知ってしまった。
使用人達の首が落ちて、来客の首をもぎ取っている光景を目の当たりしてまった彼女は、そのことを旦那様な報告しようとしたが、
「だけれど、証拠もなにもないため、それは妄言として片付けられてしまった」
外堀を埋めていた、首無し達は、普段、普通の人間と同じように暮らしている。口裏を合わせることぐらい容易にできたし、呪いの存在に気がついたことを利用して、逆に孤立させられた。
その直後のことだ、奥様が病に倒れてまった。これは単なる偶然だったかもしれないし、首無し達の差し金だったかもしれないが、奥様が倒れたのは、彼女が飯に毒を混ぜ込んだからと難癖をつけられた。彼女には味方と呼べる奴は、いない、その頃には屋敷の住人達は、ほとんど呪いの支配下にあった。
「弁解のよちはなかった。周りの連中は、口を揃えて私がやったと決めつけて、奥様の料理を用意していたことも、マイナスに働いていました」
その後の結果を語るのは、簡単だ。
呪い、つまり、空は旦那様を脅迫していた。
「『お前の妻を、使用人の女が殺そうとしている』『殺されたくなければ、使用人の女を亡き者しろ』みたいなことを囁いてみたんです」
裏で操っていた。糸で操りながら、彼女の目的を達成させるために動いた。旦那様に、使用人を犯させ、自分好みの子供を育てて、気に入らなければ首をもいで殺してしまう。人の命をおもちゃのように弄んでいた。子供を育てる手足はいくらでもいる。何より、孤児なら逃げ場はない。屋敷から出ても、行く場所なんてないし、屋敷の外にも首無しの監視がある。
「私も、貴方を産んだ直後、首をもがれて死にましたけれど、偶発的に屋敷の外に首だけが、転げ落ちたんです」
「首だけが?」
「貴女も、呪いに支配されていたから、首だけになっても生き残ることができた。違う?」
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