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『さて、高瀬実。明後日から、我の計画を仕上げようと思う。お前に取り憑いて、1ヶ月経ったからな。』
「………何をするつもりなんだよ。」
『それは明後日のお楽しみ…というものだ。明日は夢を見せない故、思う存分、寝ると良いぞ。』
「………は?」
グレイはふ…と笑うとそのまま口を噤んだ。これ以上は話さないということの表れだろう。
「……………。」
訝しげな顔をしながらも、彼は小さくため息を吐き、目を閉じた。
そして、次の日は本当に悪夢を見なかった。相変わらず、耳元での悪口は止まなかったが。
「………おはよう。」
「ん?おはよう。実、今日はなんだか顔色が良いな。よく眠れたのか?」
「本当だな。なんだかすっきりしてる様に見える。」
「…そんなにか?」
「あぁ。いつもはもっとどんよりしてる感じだ。」
「………グレイが、夢を見せなかったんだ。今日はなにかあるらしい。」
グレイの存在について、彼は3人に話していた。教会での出来事を体験した3人は、すぐに信じてくれた。そして、他のクラスメイト達には、本当に取り憑かれた人という話がうわさ話で拡散され、彼らのグループは孤立していた。
「そっか……なら、今日は1日気をつけて行動しなきゃな。」
「みんな、俺のせいで孤立して…ごめんな。」
急に謝りだした彼に、3人は顔を見合わせて笑う。彼の肩をそれぞれで叩いた。
「いたっ!なんだよ!」
「んなもん気にするなって!俺たち、友達だろ?」
「むしろ親友?」
「そういえば、小学生の頃から一緒にいたよな。」
そう言われて、彼も少しだけ口角を上げた。この1ヶ月、ほとんど笑わなかった彼が笑顔を浮かべるのを見て、3人もニヤニヤと笑った。
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