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実が目をさますと、周りは緑一色だった。
「………………崖は!?」
慌てて起き上がると、崖なんてものは無く、学校の校舎よりも高い木が生えている森の様な所にいた。起き上がるためについた手の下は、そこら辺に生えていそうな雑草がたくさん生えている。
「…………ここは?」
いまいち理解が出来ずに辺りを見回していると、グレイがふわりと現れた。
『我が連れて来た。』
「は!?ここどこだよ!?説明しろ!」
そう彼が怒鳴ると、グレイは何かに気付いたような仕草をして、ため息
吐いた。
『おいおい……お前があんまり大きな声を出すから、魔物が聞きつけてしまったぞ?』
「……まもの?」
聞きなれない単語をおうむ返しにした実を見て、グレイはニヤリと笑う。
『ほれ、其方だ。』
ガサッという草がかき分けられる音が聞こえ、彼が其方に目を向けると、彼の背丈の倍はありそうな大きさの虎がいた。
「…………。」
「グルルルルル…」
「っあああぁぁー!?」
実は、足場の悪さをものともせず、素晴らしい叫びをあげて逃げ出した。虎も、大きな声で少し怯むがすぐに追いかけ始める。
『ほれ、高瀬実。あと3mほどで捕まって喰われてしまうぞ。木にでも登ったらどうだ?』
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