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「ぅ、ゎぁああぁぁぁ!?」
1人の男子が、寝癖の酷い黒髪を手でさらに乱しながら飛び起きた。荒い息をしながら、寝巻き代わりのTシャツの首元に手を動かす。
「はーっ………はーっ…………」
彼が頭上の掛け時計に目を向けると、短針は2の数字を指している。外は真っ暗……夜中の2時だ。夜中にも関わらず、ガラス窓を開けて網戸にしているこの部屋は昼間と同じくらい蒸し暑かった。
「はー…………最近、なんなんだよ…寝れねぇ…」
荒い息の最後に大きなため息をすると、額に滲んだ汗をTシャツで拭った。彼は、少しフラつきながらベッドから起き上がり、キッチンで水を一口含むと、再び寝る姿勢に入る。
「…………寝ろよ、俺……明日も学校なのに…」
ブツブツと独り言を呟きながら、ぼんやりと外を見た。真っ暗な空に、ぽっかりと丸い月が浮かんでいる。満月ではないが、だいぶ丸みを帯びてきているようだ。
「はー……夢を見るようになって、一月くらいか……辛い…」
彼は、腕で目を隠しながら、記憶を辿っている。
「えっと……あの肝試しからだよな…変になったのって…」
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