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彼らは、残り少ない夏休みを満喫するため、古ぼけた教会へと足を運んでいた。
「な、なぁ……やっぱり不法侵入はダメだろ…」
「何言ってんだよ。この辺りで肝試しするならココしかねーだろ?」
「そうそう。昼のうちに、部活が休みの俺たちでちゃんと準備してきてやったんだからさ!覚悟決めろよ!こいつなんて、怖くてさっきから喋れねーのについて来たんだぞ?」
「……分かったよ…」
4人でまとまって、真っ暗な墓地を歩く。和式の墓地ではないため、馴染みのない不気味さに全員、少し腰が引けている。
「あ!アレだ。ようやく見つけた。」
「じゃあ、早く取って帰ろうぜ。」
墓地の一番奥、石に彫られた名前が風化して読めないほどの時間が経っている、一際不気味な墓の前に4つ、可愛いお化けの形をしたキーホルダーが置いてある。
「よし、取ったな…?」
「ヒッ!?」
肝試しを止めようとしていた男子が、キーホルダーを取った途端、鋭い悲鳴を上げた。何事かと他の男子が見ると、顔を青ざめさせて、ガタガタと震えている。
「い、今……冷たい手で背中を撫でられた……」
「またまた……お前、霊感とかある方?」
「な、無いけど、こんなとこで背中触るやつなんて、お前達か他の何かしかいないだろ…?」
「そりゃそうだけどさ…決めたの朝だから、こんにゃくとかも用意してないし……」
「なぁ……早く帰ろうぜ…?」
「そうだな。お前、ちゃんと塩撒いとけよ。」
「おぉ……そうする…」
今まで一言も発さなかった1人がそう言ったため、みんなでそろり、そろりと墓に背を向けずに後退りをし、一定の距離を取ると、素早く振り返り、ダッシュで逃走。
暗い夜道の中、悪寒を感じた彼のキーホルダーのお化けの顔だけが本物の悪霊の様に歪んでいた事を、4人は誰一人として気付かなかった。
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