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「実ー、めっちゃ熱出たんだって?大丈夫だったか?」
少し遅れて学校に登校すると、教室で同級生が声をかけてきた。先日、一緒に肝試しをした1人だ。
「おー、危うく入院させられそうだった。まさか、9度台が3日続くと思ってなかったから。」
夏休み終わりに席替えをした席に案内されながら話をする。
「お前、よく生きてたな。体温があんまり高い状態が続くと、人って本気でやばいらしいぜ?」
「そうなの?なんか、熱のせいでめっちゃ悪夢見た記憶しかないんだけど。」
彼が窓際の席に着くと、友達は机の隣に立ってポケットを漁る。
「へー。ま、治って良かったな。これ、俺らから。」
彼から渡されたのは小さなお守り。厄除けの刺繍がされている。
「ありがと。」
「お前、この前色々やばそうだったから本当に心配したわ。祟りとかだったら、こっちが申し訳ないし。」
「ははっ!風邪の前兆だっただけだよ。なぁ、今日までの授業のノート見せて。」
「おー、分かった。待ってて。」
席から離れていく友達からふと窓の方に目を向けると、何かが飛んできた。
「え?」
ガシャーン!
窓ガラスを割って、何かが頭に当たる。意外と硬かった様で、ゴッ…と鈍い音がして目の前が暗くなった。
「実!?」
「高瀬!大丈夫か!?」
友達と、担任の先生の声が同時に発せられたが、彼には聞こえていなかった。
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