184人が本棚に入れています
本棚に追加
「うぅ……痛い…」
彼が目を覚ましたのは、外が赤くなってきた頃だった。
「高瀬、大丈夫か?頭に野球のボールが当たったんだ。軟式で良かったよ。硬式だったらと思うと恐ろしい。」
担任の先生が、起き上がった音を聞いて仕切っていたカーテンを引いた。保健室の机で、彼が目覚めるまで仕事をしていたらしい。少し厚めのノートパソコンが広げてある。
「頭にたんこぶが出来ただけだそうだ。ガラスが飛び散ったが、それは奇跡的にほとんどかかってない。髪を洗うときに気を付けろと保健の先生が言っていた。」
「………分かりました。…帰ります…」
「さっき、学校が終わった後に親御さんに連絡したら、迎えに来てくれるそうだ。カバンは持ってきてもらったぞ。」
「あー………はい。」
グラグラする頭でなんとか理解し、頭を起こしている状態に慣れるため、ベッドの縁に足を垂らして座った。彼の母親は、彼より少し大きい。それでも、ふらついている彼を支えるのは難しいだろう。
コンコン。
「失礼します。うちの子がお世話になったみたいで……」
「いえいえ、登校初日に授業も受けれなかったので、申し訳なく思います。頭を打っているので、気を付けてあげてください。」
「ありがとうございます。実、行くよ。」
「さようなら。」
母親にカバンを持ってもらい、自身は壁に手を付きながらゆっくりと歩く。
「あんたも運が悪いわねぇ……車で来てるから、そこまでは頑張ってね。」
「うん……」
少しぼーっとしながら歩き、車に乗った。家に着くまでに少し覚醒したらしく、普通に歩けるようになっていた。
「今日も早めに寝なさいよ?明日も行く気あるなら。」
「風呂入って寝る。血は出てないみたいだし、さっと髪も洗っちゃいたい。」
「ガラスとかあるかもしれないから、気をつけてね。」
「うん。夕飯はその後食べるから。」
彼は洗う前に髪に念入りに水を含ませて小さなガラス片を流した。その後、慎重に髪を洗って、丁寧に乾かした。ガラス片も無くなっていた。
「よかった……痛くないし、傷もないみたいだ。」
夕食を食べて、両親におやすみの挨拶をすると、少し早めに眠りについた。
最初のコメントを投稿しよう!